月経移動
「月経移動」という言葉をお聞きになったことはありますか?
旅行や受験など大きなイベントごとに生理が重なって、困るようなとき、ホルモン剤を内服することで生理の時期をずらして、イベントに生理が重ならないようにすることです。
生理痛のつらい方はもちろんですが、生理は軽いけど海に入るのに困った、などという時に1日1回数日間、ホルモン剤を内服することで、生理をずらす(月経移動をする)ことができます。
月経移動には生理を早める場合と、遅らせる場合があります。
人によって、ホルモン剤内服による副作用(嘔気、嘔吐、倦怠感)があること、ホルモン剤内服中は、やや血栓のリスクが上がることから、時間的余裕のある時は生理を早める方法をお勧めします。
また、まれに予想通り生理が移動できない場合もありますので、ご注意ください。
生理を早める方法
直前の生理の早い時期から内服を開始します。
直前の生理の3~5日目から内服を開始し、1日1回1錠、10~14日間内服をします。内服終了後通常2~3日で生理(消退出血)が起こります。
月経を早めるメリットは、イベントの時にお薬を飲んでいなくていいことです。
生理を遅らせる方法
予想される一番早い予定生理開始日の3~5日前から延長希望日まで内服します。
内服終了後通常2~3日で生理(消退出血)が起こります。
注意事項
- 生理の周期が比較的安定していて、次回の生理の予定がわかる人にしか月経移動を行うことができません。生理周期の不定な方は、月経移動が難しいので、早めにご相談ください。
- 旅行など日数が短く限られている場合は予定を組みやすいのですが、受験など期間が長い場合、夏休み頃から低用量のピルでのコントロールをお勧めします。
- ホルモン剤の代謝には個人差があり、思い通りに月経変更できない方もまれにいらっしゃいますので、時間に余裕を持ってご相談ください。
ピルの処方が出来ない方
以下の方は一般的に月経移動で使用する中容量ピルは処方できません。
- 前兆を伴う片頭痛がある方
- 40歳以上の方
- 高血圧や糖尿病などの病気がある方
- たばこ(10本以上/日)を吸う方
- 肥満(BMI30以上)の方
- 妊娠中または妊娠している可能性のある方
- 授乳中の方 など
月経を遅らせるタイプの黄体ホルモンでの月経移動しかできないため、確実性に欠ける場合があります。
1回前の月経1週間前には来院、ご相談をお願いします。