阿佐ヶ谷 荻窪の産婦人科 女性医師による診療

あおきウィメンズクリニック

おしえて、先生!

このコーナーでは、実はよく知らなかった、という女性の皆さんと、パートナーの男性の皆さんに、保健体育で習ったような体の仕組みなどを含め、ざっくばらんに、お話ししていこうと思います。

生理のしくみ

まず、「生理」は、女性にしかありません。なぜなら女性にしか子宮がないからです。
子宮は赤ちゃんを育てるための臓器です。さらに、子宮の左右に卵巣があります。卵巣からは、月に1度、排卵と言って、卵が出てきます。これが卵子(女性側の赤ちゃんの種)です。
この卵子が精子(男子側の赤ちゃんの種)と出会って(授精して)、赤ちゃんになります。いつ赤ちゃんが来てもいいように、子宮は月に1回赤ちゃんのベッド(子宮内膜)を用意します。授精せず、赤ちゃんがやって来ないと、このベッドは体外に排出されます。これが生理です。
大体1か月に1回この周期がくり返されます。なので生理は1か月に1回やってくるのです。

妊娠しやすい日

では一体いつが妊娠しやすい時期なのでしょうか?
それは、「生理のしくみ」でお話しした、排卵日(卵子が卵巣から出てくる日)が最も妊娠しやすい日です。

では排卵日っていつなのでしょうか?
簡略的に言うと、排卵日はおおよそ「次の生理を予想して14日前」となります。
と言うと簡単に推測できそうですが、「14日前」というのもずれることもありますし、「次の生理を予想すること」も容易ではありません。

月経周期とは生理初日から次の生理初日までのことを言いますが、1日も遅れずに毎月ぴったり生理が来る人はそう多くありません。周期が2-3日変化するだけで、妊娠しやすい日はズレてしまいます。また、女性の生理周期はちょっとしたストレスの影響でも変化しますので、いつも28日周期でも今月そうとは限らない、というジレンマがあります。

妊娠をお考えで、月経周期が安定している人は、「次の生理の14日前」をめやすに妊娠しやすい日を推定してください。
月経周期が安定していない人は、最近の一番短い周期と一番長い周期から次の生理を予想して、その14日前ならここからここまで、と幅を持たせて予測してください。

最近、携帯アプリでこの排卵日を推定するものがあります。月経周期の安定している人では、メモとして有能ですが、周期の安定していない人は、カレンダーを見ながら、ぜひご自身で確認してみてくださいね。
ちなみに卵子の寿命は1日です。精子では平均2-3日、長いものでは1週間の寿命と言われています。

ピルって何?

生理の仕組みでおはなししましたが、生理とは赤ちゃんが子宮に来ないと、赤ちゃんに備えて作っていたベッド(子宮内膜)が月に1回体の外に出る(排出される)仕組みでした。
この生理の仕組みには排卵に伴うホルモンのバランスが絶妙にかかわっています。

ピルは、このホルモンのバランスに作用して、排卵を抑えるホルモンのお薬です。
1日1回1錠、毎日内服します。(*排卵を抑えるとは、赤ちゃんのもとになる卵子が卵巣から出てこないようにすることです。)

ピルの排卵を抑える仕組みについて簡略的にお話しします。
ピルには生理にかかわる2種類のホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)が入っています。ピルをのむと体は、「あ、今ホルモンが足りているから、自前でホルモン出さなくっていいか~。」と排卵をお休みするのです。

ピル(避妊をご希望で使用される方へ)

のみ忘れさえなければ、この排卵を抑える、避妊効果はピル2シート目から98%となります。排卵が起きないので、妊娠もしません。
時々、ピルの休薬中に避妊効果がなくなるのではないか、と心配される方がいますが、1か月間かけて、1か月に1回の排卵を抑えているのがピルの効果ですから、ご心配にはおよびません。

ピル(生理痛を軽くする目的で使用される方へ)

ピルには生理にかかわる2種類のホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)が入っています。ピルに入っているホルモンの量で作られる生理の量は、ご自身の自然周期のホルモンで作られる生理の量よりも少ないのです。このためピルをのむと生理の量が減って、生理痛も軽くなるわけです。

鎮痛剤をのんでも、効かないくらい生理痛のつらい方は、是非一度ご相談ください。
特に生理痛のひどい方、排便痛(排便時の痛み)や肛門痛のある方は子宮内膜症の可能性が否定できません。ピルは若年者の子宮内膜症の第一選択となっています。痛みは我慢しないでご相談ください。

避妊について

避妊の立場から考えた場合、生理の周期に絶対がない限り、妊娠しにくい日は存在しません。妊娠危険日は存在しますが、安全日はありません。セックスする限り、いつでも妊娠の可能性はあります。妊娠したくない場合、細心の注意を払ってください。

ピル

ピルはひと昔前と比べて、月経困難症(生理痛)の治療薬として使われるようになってから、だいぶん市民権を得てきました。周りのお友達でも、ピルをのんでいる人がいるのではないでしょうか。

1日1回内服することで、飲み忘れがなければ98%の避妊効果を認める方法です。
日本では処方薬なので、産婦人科受診が必要となります。施設によって差はありますが、1か月分3,000円前後のところが多いようです。
身体的にも、精神的にも負担の大きい中絶は、さらに経済的な負担も、数十万の単位です。ぜひ妊娠中絶のリスクは回避していただきたいと思っています。
避妊を考えるなら、ピル内服は最も確実な方法としての選択肢です。
産婦人科でご相談ください。

ピルについてはこちらをご覧ください。

コンドーム

ご存知の通り、男性の協力なくしては成り立たない避妊方法です。
挿入前より確実に装着をしてください。

NG集

男性のみなさん、ご自分の人生、彼女の人生に責任をもつ男子として、細心の注意を払ってくださいね。

緊急避妊ピル(アフターモーニングピル)

コンドームが破けてしまった、コンドームが外れてしまった、などといった偶発事項が起こった時に使う避妊方法です。無防備な性交渉後72時間以内に内服します。

産婦人科学会ではノルレボという1回の内服ですむお薬を推奨しています。従来のヤッペ法にあった嘔気、嘔吐といったつらい副作用がありません。
3週間以内に通常の月経が来れば避妊できたことになります。3週間たっても生理が来ない場合は妊娠反応を検査してみてください。

緊急避妊ピルについてはこちらからご覧ください。

リズム法

排卵日を推定して、この期間を避ける、という方法です。
排卵日前2日から後2日までの計5日間避けるべきとしています。

子宮内避妊具

分娩経験のある方に向いている避妊方法です。
当院では、ミレーナ、ノバTと2種類をご用意しています。
お気軽にご相談ください。